ラオスにおけるビジネスチャンスを探る:
百万の象の王国
弊社GPCビジネスアドバイザリーチームは、2019年6月調査訪問の為ラオスへ3日間訪問しました。ラオスと言えば水力発電が盛んであるという印象しかありませんでしたが、驚くことにその他多角事業において成長潜在力があるということが分かりました。この調査訪問の中で多く学んだラオスに関する自身の意見や、現地で政府部門、民間部門の関係者と会い、得た情報をここでご紹介したいと思います。
ラオスへの進出を考えている企業の方々にとって、このレポートが有益な情報として少しでもお役に立てれば幸いです。
概要
我々はラオスの首都ビエンチャン(後に知ったのですが、漢字で「万象」と書き、百万の象を意味します)を訪れました。ラオスは、莫大な量の水力発電を輸出していることから、「東南アジアのバッテリー」としても知られています。東南アジアで唯一海に面していない国であり、たった660万人の人口を持つラオスは、アセアン地域で最も小さい国の一つです。
ラオスは周辺を中国、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、タイに囲まれています。近隣諸国と同様に、ラオスの主な宗教は仏教(上座部仏教)です。その他に、アニミズム、キリスト教、イスラム教、バハーイー教があります。
“ラオスは概して平和で政治的に安定している国である。“
経済
(1USD=108円で計算)
ラオスは近年においてGDP成長率7%と安定しています。ラオスのGDPは2017年のUSD170億(JPY1兆8360億)から2018年にはUSD183億(JPY1兆9764億)へと増加しました。外国直接投資の流入もまた2017年のUSD6億6千万(JPY712億8千万)から2018年にはUSD160億(JPY1兆7280億)へと増加しました。
ラオスの経済成長の多くは、木材、農産物、鉱物、エネルギーなどの天然資源の為の国有土地使用権から成り立っています。ラオス人のほとんどが農村地域に住み、77%が主に稲作を行う農業に従事しています。
また、ビエンチャンの人口は国全体の10%しか占めていないことも分かりました。ラオスの中心部は最も工業地域が盛んな地域で、南部は農地で人口のほとんどが住む地域となります。
成長分野
現地の様々な人と話をしていく中で、3つの成長分野があることが分かりました。 1)有機農業に焦点をおいた農業 2)水力、太陽光エネルギーに焦点をおいた再生可能エネルギー 3)物流・輸送部門(中国が中国と東南アジアの国を結ぶ鉄道をラオスに初めて建設していることをうけて)。
我々が話をした人全てが興味を示していたこの鉄道建設に関して、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。建設費USD70億(JPY7560億)のこの鉄道は、ラオスにおいて最大で最も物議を引き起こしている外国投資プロジェクトとなります。一帯一路戦略事業の一つとして中国が建設を行うこの鉄道は、中国(雲南省の州都昆明)と東南アジアを結びます。この鉄道は最終的にバンコクとマレーシアを通りシンガポールまで繋がるよう計画をされています。建設総距離410Kmの鉄道のトンネルは75か所必要とされ、160か所の橋梁がラオスに建設される予定です。
2016年に建設が開始されたこの鉄道計画は2021年12月に完成を予定しています。
農業に関連して、価格競争力のある農業製品を他国へ輸出する為に、同国は「付加価値」商品や方法(有機農法等)を生み出したり、より良い農業方法の為の先端技術を開発する必要があると概して人々は話していました。投資家の方々は、急激的な成長が予測されるこの分野を検討してみてはいかがでしょうか。
建設産業はそこまで成長潜在力を持ち得ていないと言われている為、十分な資金がない以上外国投資にはお勧めできません。 話を伺った現地の人によると、この産業においてラオス政府と共同出資をすることはお勧めできないそうです。その原因は主に政府が建設を最後まで見届ける十分な資金を持ち得ていないからだそうです。
鉱業産業は、現在より規制が進んでいます。この産業に進出しているのは、主にオーストラリアの企業だそうです。ラオスに多額の投資を行っている国は1)中国 2)タイ 3)ベトナムであるということも分かりました。
我々が気づいた範囲では、中国企業は主に建設、水力産業に深く関与している一方、輸入製品や食品物はタイからのものがほとんどでした。
ラオスにおける課題
ビエンチャンの道路は舗装され、整頓された環境ではありましたが、路上にほとんどバスやトゥクトゥク(写真左下)の姿が見られませんでした。公共交通機関が乏しい為、人々は通勤の為に車を所有する必要があります。
所有車は主にトヨタ、ヒュンダイ、ホンダの車でした。バスもありましたが、時刻通りではなく、信頼性がありません。現地の人によると、我々の見解は正しかったようです。日本車市場はラオスでは好調で、「トヨタの車に乗っていることがステータス」のようです。
現在ラオスが直面するその他の課題は、非熟練労働者です。特にエンジニアリング分野において技能職業訓練が必要と現地の人々は言います。外国人労働者は中国(建設)、ベトナム(ネイル、ビューティーサロン)のような外国から来ています。これらの分野に熟練しているラオス人はタイのような海外に働きに出ている人が多いそうです。
驚くことに、ラオスでは大学学位を有する人の多くで仕事にありつけていないというケースが増えています。昨年2万人の大学卒業生が就職できなかったそうです。
ラオスの注目点
ラオスは人口の70%が農家である為、主に農業国家と言える一方、国のGDPの内それが占める割合は著しく低く、たった16%しか占めません(2019年の統計によると31%は産業、40%はサービス業)。低い生産性と時代遅れの農業方法が足をひっぱり、経済の最も成長の遅い分野となります。従って、この分野における外国投資は有意義であると言えるでしょう。
資源関連分野(鉱業、発電等)は、投資(主に中国、ベトナム、タイからの)の大多数を占めます。しかし、2012年以来の新しい採掘権の割り当てと規制により、鉱業の相対的有意性は、今年減少傾向にあります。
サービス業の成長率は高く、GDPの占める割合は40%です。特に、商業の占める割合は高く、金融業も増加しています。サービス分野は6.7%増えると予測されています。(2019年ADO)
外国法人の登録
ラオスで外国法人を登録することは難しくはありません。しかし、直接書類を提出する必要があります。外資系銀行は、完全外資系として支店を開くことはとても容易です。ラオスでは承認もとても簡単におります。(特に規制などなし)
投資の3つの種類:
- 一般事業(商工省が事業許可証を発行)
- コンセッション事業(計画投資省がコンセッション許可証を発行)
- 経済特区、特定経済地区(政府の経済特別区全国委員会事務局が許可証を発行)
概して、ラオスで新事業を立ち上げようとしている外国人投資家は、外国投資と事業許可証、企業登録証明書、納税証明書を入手する必要があります。外国人の雇用ビザ(各企業毎に定員あり)も一般的に入手が容易です。
ラオスの促進分野は農業、産業、手芸とサービス業。
日系企業のほとんどは新しい国での投資を行う際、非常に慎重になりますが、日系のF&B(レストラン)事業の中小企業は、ほとんど既にラオスに進出しているそうです。市場調査で、我々は少なくとも4つのMiniSoの店舗を見かけました。
結論として、ラオスは平和な国で投資成長の余地が非常に多くあると言えるでしょう。ご興味のある投資家の方々で、さらなる情報をご希望の方、もしくはお手伝いの必要な方は、弊社までお気軽にお問合せください。GPCはお客様の事業拡大のお手伝いを致します。
May Pyeetson Aung