【新型コロナウイルス】コロナ禍の減給・解雇 4,800社以上が実施 

MOMは、6月24日、TAFEPと共同で、新型コロナウイルスによって深刻な影響を受けた事業主が採用したコスト削減措置に関する調査結果を発表しました。 
2020年3月以降、計4,800社以上の事業主がコスト削減措置を行い、結果として187,000人以上の従業員に影響が出たものの、従業員からMOMに持ち込まれる「不当解雇」の訴えのほとんどは雇用主とのコミュニケーション不足に起因するものであるとしています。 

  

  

■コスト削減概要 

  

・2020年3月12日から、従業員10人以上の事業主は、従業員の月給に影響を与える経費節減措置を実施した場合には、MOMに届け出ることが義務付けられている。 

  

・その後3ヶ月間で、計4,800社以上の事業主がコスト削減策の届出を行い、187,000人以上の従業員に影響が出た。 

  

・雇用主の大半は、宿泊・飲食サービス業(全体の24%)、建設業(16%)、卸売・小売業(15%)で、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた事業であった。これらの部門で影響を受けた従業員数は以下の通りである。 
– 宿泊・フードサービス (24%):45,000人 
– 建設業 (16%):25,000人 
– 卸売・小売業(15%):19,000人 

  

・実施したコスト削減策の上位3位は、「無給休暇」、「月給構成の調整」、「週休2日制」だった。ほとんどの社員が最大25%の減給となっている。 

  

  

■政府の取り組み 

  

・TAFEPでは、従業員を支援するためのコスト削減策の見直しに向けて、事業主に積極的に働きかけを行った。 
雇用者のコスト削減措置が過剰であると思われる場合、TAFEPは、関連勧告を参考にしながら、その措置が公正かつ合理的であるかどうかをさらに評価するために調査を行い、3か月間で33,000人以上の該当従業員の雇用主である事業主約700社に対して働きかけを行った 

  

・結果として、約300社の事業主が、賃金補助の増加や年休取得日数の削減等、施策の見直しに合意した。 

  

・以下リンクにて、実社名付きでいくつか例が公開されている 
https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/press-releases/2020/0624annexaprofiles-of-reasonable-and-fair-companies-that-reviewed-their-costsaving-measures-to-provi.pdf 

  

・残りの事業主は、事業存続のためのコスト削減策の必要性が認められた。こうした企業にあっては、政府からの資金援助は、事業を存続させ整理解雇を防ぐために、事業停止中の固定費をカバーすることに充てられる等していた。 

  

  

■従業員からの苦情の大部分はコミュニケーションの不備 

  

・TAFEPが事業主のコスト削減策精査を進める中で、MOMは従業員個人の支援も行ってきた。これまでに600人以上の従業員が、会社の施策が不公平であったり、理不尽であるとして、MOMに支援を求めた。 

  

・最も多かった問題は、雇用者がジョブ・サポート・スキーム(JSS)や外国人労働者賦課金(FWL)などの政府の支援を受けていながら、従業員に年次休暇の取得や無給休暇の取得を求めることの是非だった。コストを管理し人手を節約するために、事業活動が激減している時には、雇用主が従業員に既存の休暇を利用したり、無給休暇を取得するように求めるのは妥当であるというのが政府としての結論である。従業員は、整理解雇という最悪の結果を避けるためにも、会社がこの困難な時期を乗り切るため、コスト削減策を支援することが奨励されている。 

  

・MOMの介入により、大半のケース(74%)では、雇用主が支援策を十分に伝えていなかったり、コスト削減策を採用する必要性を十分に説明しなかったりしたために誤解が生じていたことが明らかになった。また、サーキットブレーカーを開始した当初は、どの程度の支援が受けられるのか、JSSの支給額をどのように使うべきなのかがわからないという事業主も存在していたことが分かった。 

  

よくある苦情や誤解の例は、以下リンクにて詳細が確認できる 
https://www.mom.gov.sg/-/media/mom/documents/press-releases/2020/0624-annex-b-examples-of-complaints-and-disputes-arising-from-poor-or-delayed-communication.pdf 

  

  

■公正かつ責任あるコスト削減施策への取り組み 

  

・MOMとTAFEPは、今後も従業員と雇用主の双方を指導・支援するための努力を続け、シンガポールが復興への長い道のりを歩む中で、COVID-19の影響を乗り切ることができるように協力していく。 

  

・TAFEPの長官は以下のように述べている。 
「この危機を乗り切り、雇用を守るためには、皆が一丸となって自分の役割を果たさなければなりません。政府は、雇用主が従業員を雇用し続け、可能な限り長期に渡って整理解雇を回避できるようにJSSを展開しています。雇用主は、事業を維持するためのコスト削減策をどのように採用するかに責任があります。また、コスト削減策の必要性とその実施方法について、従業員との間でオープンで透明性のある関係を築く必要があります。オープンで誠実なコミュニケーションは、時に痛みを伴う施策がスムーズに実施されるようにするためのキーとなるでしょう。TAFEPは、この困難な時期に従業員をサポートするために、雇用主に引き続き働きかけていきます。」 

  

・MOM担当官は「今後数ヶ月間の COVID-19 の影響を乗り切るためには、雇用主と従業員が協力し、整理解雇を防止し、雇用を維持するために犠牲を払うという共通の責任があります。MOMは、従業員を公平に扱わない雇用者に対する苦情を調査し、措置を講じます」と述べた。 

  

  

▼詳しくはコチラ 

https://www.mom.gov.sg/newsroom/press-releases/2020/0624-majority-of-employers-reasonable-and-fair-when-implementing-cost-saving-measures