シンガポール政府は2020年7月22日 、現在延期となっている展示会やビジネスカンファレンス等の大規模イベントについて、今後数ヶ月の間に安全に再開できるよう準備を進めていると発表しました。
政府観光局(Singapore Tourism Board, STB)では、参加者50名までのビジネスイベントについて、厳格な安全管理措置に基づいたリスクマネジメント・フレームワークを開発し、2 つのイベントで試験的に実施した後、他のイベントに徐々に拡大していく予定とのことです
以下、政府発表
■Safe Business Event Risk Management Framework
イベント主催者は、以下5つを実施・達成する事
1. イベント参加者の移動の各段階(イベント前からイベント後まで)における感染制御対策
2. 群集の密度の制限
3. 個々人間の密接な接触の制限
4. 安全で清潔な環境の確保
5. 新型コロナウイルスに関連する緊急事態への備え
・上記フレームワークは業界との度重なる協議により作成され、国際的なベストプラクティスに沿ったものです。
シンガポールの MICE 企業は、オンラインイベント開催に向けたデジタルソリューションの開発も行ってきました。その一つがInternational Dental Exhibition and Meeting(IDEM)で、従来はオフラインで開催されていた展示会と会議を、2020年6月に完全にバーチャル化しました。デジタル会議と展示会を特徴とする当該イベントには、50カ国以上から300以上のブランドが出展し、参加者は約4,000人と、いかに安全かつ効果的にオンラインでのイベントが実施できるかを実証しました。
■ハイブリッドイベントの実施
・近い将来、ビジネスイベントでは、オンラインとオフラインのインタラクションが混在するハイブリッド・フォーマットが標準となる可能性があります。
「2020 IEEE International Conference on Computational Electromagnetics(2020年8月24日~26日)」と「Asia Pacific MedTech Virtual Forum 2020(2020年9月24日)」には最大50名のオンサイト参加者に加え、両イベントともに約1,000名のオンライン参加者が予定されていることから、シンガポール政府はこの2つのハイブリッドイベントにて、Safe Business Event Risk Management Frameworkを適用します。
・東南アジアで初の開催となる「2020 IEEE International Conference on Computational Electromagnetics」は、当初2020年3月に予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期されました。8月の新しいハイブリッド形式では、参加者が会議にバーチャルで参加できるように、セッションがオンラインでストリーミングされる予定です。
2020年IEEE International Conference on Computational ElectromagneticsのGeneral Co-Chairを務めるShen Zhongxiang教授は、次のように述べています。
「シンガポールでの開催を選んだ理由は、シンガポールが質の高いビジネスイベントを提供してきた実績があるからです。シンガポール当局と会場パートナーが、参加者に安全なイベントを提供するための厳格な対策を講じていることを全面的に信頼しています」
・アジア太平洋医療技術協会(APACMed)が主催する「Asia Pacific MedTech Virtual Forum 2020(2020年9月24日)」では、同協会初のハイブリッド要素を盛り込む計画が進行中です。参加者はバーチャルネットワーキングやオンラインディスカッションに参加できることとなる予定です(補完的に、オフラインのパネルディスカッションやネットワーキングイベントの可能性もあり)
・今回、主催者がイベント会場だけでなくSTBにも積極的に働きかけ、徹底した安全管理措置の導入を計画していることから、この2つのイベントがパイロットとして選ばれました。この取り組みが成功すれば、その他の同様のB2Bイベントが徐々に再開となる可能性があります。
■業界との連携
STBとエンタープライズ・シンガポール(ESG)は、MICEビジネスのための更なる指針を提供するために、シンガポールコンベンション・エキシビション・オーガナイザー・サプライヤー協会(SACEOS)と協力して、以下3つの戦略面に重点を置き、官民一体でロードマップを策定しています。
①新イベント安全対策のための最高基準の確立 ②デジタルに焦点を当てた機敏なビジネスモデルの構築、③アフターコロナの世界における専門家育成のためのパスウェイの開発