2020年9月2日、シンガポールのリー・シェンロン首相は国会にて、新型コロナウイルスに対する対応と今後の政権運営についてスピーチを行い、先日発表されたEP、Sパスの厳格化について改めて触れた上で、外国人の受け入れについて下記シンガポールのポリシーを強調しました。
◆就労ビザ発給条件厳格化の背景
・シンガポールとしては、以前より、シンガポール社会とシンガポール人の雇用に貢献する外国企業と外国人を積極的に受け入れ、国の発展を遂げてきた。現在でも、そのポリシーは変わっていない。
・この数十年間でシンガポールの教育レベルは上がり、ローカル人材の競争力も上がってきたことに伴い、従来EPやSパスといった外国人タレントに頼ってきたポジションについても、シンガポールのローカル人材が十分に機能するようになった。
・EPレベルのポジションについては、以前はPMETの全体の40%程度しかシンガポール人PMETがいなかったが、現在ではPMETの60%をシンガポール人が占めており、、Sパスレベルのポジションについては、Polytechnic(専門学校)卒のローカル人材とSパス人材が競合する傾向が出てきた。
・また、現在のコロナ禍での雇用状況悪化で労働市場自体が縮小していることも鑑み、上記ポリシーに基づいて、外国人人材の受け入れ方針を現状に合わせて調整したのが先日の発表である。
◆シンガポール人人材・従業員への公平な対応について
・昨今の雇用状況の悪化を受け、シンガポール人人材や従業員が公平に採用・評価され、外国人と比較して不当な解雇を受けない環境を担保することについて、これまで以上に注力していく。TAFEPが中心となり、FCFの徹底した運用も強化していく
・特に、この厳しい時代において、「シンガポール・コア」の方針を強調したい
◆外国人人材の受け入れについて
・外国人を受け入れず、内向きに閉じているという印象を世界に与えることはあってはならず、且つ今回の規制変更もそのようなものではない。
・今後も、安定した政治、整備された法制度と優秀な人材がそろう国際都市として、シンガポールは国際社会での存在感を示し続けていく必要がある。
・例えば現在、コロナに関連したワクチンの製造拠点や保険関連の企業、また、future mobilityを推進する自動車会社のR&D部門、国際的に展開する銀行のITセンター等がシンガポール拠点の設立を予定しているが、これらのように、シンガポールの競争力を更に強化し、且つシンガポール人の雇用を生み出すような外国企業は常に歓迎する。
・新しいスキルを持つ外国人人材がシンガポールに来ることで、ローカル人材にないスキルが持ち込まれ、結果人材競争力が高まることになるため、このような人材も引き続き積極的に受け入れていく。
・また、多国籍企業については、様々な国籍を持った人材が多国籍チームとして動くことがその価値・競争力を高めるものだと理解している。
・一方で、単一の民族に偏った外国企業については(日本などは以前そうであったが)、その中でシンガポール人が根付き、成長していくことが難しい。雇用を生み出さず、競争力強化にも貢献しないこうした企業については、改善を働きかけていく。
2020年1月から、不公平な雇用プロセスに対して、禁固刑・罰金刑という明確な罰則規定が設けられました。本アイテムは、シンガポール政府の求める「フェア・エンプロイメント」の中核をなす「Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices」の日英完全対訳と導入にあたっての手引きの2つがセットとなったパッケージです。