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シンガポール、「公平な雇用」ルールの法律化と就労ビザの厳格化を発表

2021年8月29日のNational Day Rallyで、シンガポールのリー・シェンロン首相が行ったスピーチにて、外国人雇用の観点で重要な発表がいくつかなされました。


在シンガポール日系企業様が特に押さえておきたい内容は、まとめると以下になります。

 

A. Local Qualifying Salary制度の見直し
SパスやWork Permit等のQuotaの対象となるビザを発給する企業は、前提条件として、全ローカル従業員にLocal Qualifying Salary以上の給与を支給することが義務付けられる。また、現行のSGD1,400も今後見直される

 

B. EP、Sパスの給与基準等の見直し
今後も中長期的に基準の厳格化を行う

 

C. Fair Employment Guildelineの法律化
企業の公平な採用慣行を定めたTripartite Guideline on Fair Employment Practicesを法律化し、法的拘束力を強化する

 

 

細かい詳細は全て今後の発表となりますが、特にBおよびCについては、駐在員を配置している全日系企業様に関係してくることが想定されます。

 

 

 

▼全文はこちら
https://www.pmo.gov.sg/Newsroom/National-Day-Rally-2021-English

 

 

 

▼要約は以下

 

◆シンガポールの現状
・シンガポールの予防接種プログラムは非常に成功しており、今では、住民の10人に8人が予防接種を受けている。
・ワクチン接種によって、新型コロナウイルスの感染と広がりは遅くなったものの、ウイルスは変異しており、デルタ型は感染力が格段に高くなっている。新型コロナウイルスの感染者をゼロにすることは、たとえ長期間のロックダウンを行っても、もはや不可能。したがって、インフルエンザや水ぼうそうのように、コロナが流行することに備えなければならない。
・時々はブレーキを踏む必要があるかもしれないが、強くブレーキを踏むことは避けたい。なので、シンガポールは、どこかの国のように一気に大きく開放するのではなく、慎重に、徐々に、自分の道を感じながら進んでいく。
・先週、感染者数が増加した。しかし、重症患者の数は安定している。これを維持することが重要であり、そうすることで緩和を続け、特にシンガポールと世界を再び結びつけることができる。

 


◆低賃金労働者(LWW)に対する政策の見直し 
※低賃金労働者保護の観点で、政府から様々な支援施策が発表されました。在シンガポール日系企業様に特に関連がある内容としては下記です


①プログレッシブ・ウェッジ・モデル(PWM)の適用範囲の拡大
・現在、清掃員、警備員、造園作業員、リフトメンテナンス作業員などを対象としているPWMが、来年以降、小売業、飲食業、廃棄物処理業等より多くの業種が対象となる。

 

②Local Qualifying Salaryの見直し
・現在、外国人労働者を雇用している企業は、SGD1400ドル/月のLocal Qualifying Salaryを支払っているローカル従業員が〇名いれば、Sパス〇枠やWork Permit〇枠を与えられるという形で外国人の就労枠を付与されている。
・この制度が見直しとなり、外国人従業員(SパスやWork Permit)を1名でも雇用する場合には、すべてのローカル従業員にこのLocal Qualifying Salary以上の給与を支払うことが義務づけられる。また、現在のSGD 1,400という給与額も適宜調整される。

 

 

◆就労ビザ政策の見直し
※シンガポール政府は、シンガポールの労働力を補い、経済を成長させるために就労ビザ(EP、Sパス)を受け入れてきましたが、コロナでの失業率の増加受け、中間所得層のシンガポール人を中心に、外国人の就労ビザ保持者が自分たちの雇用を奪っているという不満を高めている状況があります。そこで下記のような発表がされました。


①EP、Sパスの給与基準等の見直し
・シンガポール人が納得するためには、Employment Pass と S Pass の保有者が適切な水準に達していることを保証する必要があり、その最も実用的かつ合理的な指標として、最低給与基準を定めている。
・EPやSパスの基準は、今後も時間をかけて厳しくしていいく。ビジネスに打撃を与えるような急なものではなく、徐々に、段階的に行う事で、就労ビザ保持者が最も必要なセクターに入ってくるようにする。

 

②職場での「公平な待遇」の保障
・シンガポールは外資を受け入れることで自国の雇用を生み出して発展してきたが、外国人従業員を、実力ではなく、馴染みのある人脈や昔からのネットワークを利用して自国から雇用する一部の公平でない雇用主が存在する。また、外国人に仕事や機会を与え、ローカル従業員人には形だけの対応しかしないというケースも把握している。
・このような違反行為に対してローカル従業員から苦情があった場合は、MAS等の管轄省庁を巻き込んで、断固とした対応を取る。
・また、TAFEP(公正で進歩的な雇用慣行のための三者同盟)のTripartite Guideline on Fair Employment Practicesの法律化を行う。
これにより、ガイドラインに実効性が与えられ、不公平な雇用主に対して、政府はより法的な対処を行えるようになる。
給与や不当解雇をめぐる紛争に対処する方法をモデルにして、まず調停・仲裁を行い、それらが不調に終わった場合はEmployment Claims Tribunal(雇用請求裁判)で裁判にかける。こうすることで、国籍、性別、年齢、人種、宗教、障害に基づく差別はより法的拘束力を持って禁止されることになる。
・ただし実際には、職場での紛争は、可能な限り非公式で友好的に解決すべきであり、現在と同じようなより良い形で運用されることを望んでいる。
・一方で、シンガポールが外国人嫌いで外国人を敵視しているような印象を与えることは、国際的なハブとしてのシンガポールの評判に重大なダメージを与え、投資、雇用、機会を失うことになる。
シンガポールは自分たちの生活の糧を得るためにオープンであり続ける、ということを、政策だけでなく、国民の考え方や価値観の観点でも維持していかなければならない。