本記事は、シンガポール予算2020の日本語解説セミナーの動画データを書き起こした物です。
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【シンガポール予算2020】Part 2-2 税金
日米公認会計士 山下 英男
それでは、税金に関するシンガポール予算2020の政策を見ていきたいと思います。まず、税金の箇所ですが、初めに消費税の部分、GSTですね、こちらは既に国会で9%まで上がることが決定しておりますが、その上げる時期については、未定のままでした。今回のシンガポール予算2020では、2021年までは7%で据え置きという風に発表されております。但し、一方で2025年の終わりまでには、9%へ増加することも今回、財務庁高官が明示しております。
そして、次にここは法人税の部分になりますが、“Corporate Tax Rebate”これは税額控除になります。こちらは、シンガポール企業の事業コストの増加に伴って上がっていくコストを少しでも節約する為に導入された税額控除になります。こちらにYA2013からYA2019までのCorporate Tax Rebateの推移がありますが、こちらはシンガポール経済の状況に応じて、毎年予算の中で変更がされるものになります。
今回のシンガポール予算2020の中では、YA2020の法人税額の25%、そして上限を15,000ドルとする“Corporate Tax Rebate”が発表されました。これを過去の、例えば去年のYA2019と比べてみると、少し増額をされている、Taxメリットをよりシンガポール企業が取れるとういう風な改定がされています。
次に行きますと、次も法人税になりますが、リノベーションに関わる部分の所得控除になっております。こちらについては、今回新たに導入されたものというよりは、従来からあったものになります。従来は30万ドルをCapとして3年間で所得控除が可能でした。しかし、今回のシンガポール予算2020の発表では、こういったリノベーションコストについては、会計年度の2020年度、税金の付加課税年度の2021年度に関しては、1年で所得控除が可能になっております。
こちらについては、Capが30万ドルというのは、変わっておりません。この1年での所得控除が可能になったという風に、政府が新たな取り組みを導入した背景としては、現在小売ですとか、あとは飲食店そしてホテル等がウィルスの影響を受けて、かなり稼働率が低くなっていると。そういった中で、この機会に、稼働率が低くなっているところで、次のシンガポール経済の回復に向けて、リノベーションに力を入れて欲しいという風なことが、財務省の大臣から発表されました。
そして、次のところに来まして、こちらも法人税になります。こちらは、もともとシンガポールの税金申告所は税務上のキャピタルアローワンスという形で所得控除が可能でした。固定資産については、税務上1年償却と3年償却が代表的なものとなっておりますが、例えば、1年償却については、PCやソフトウェア、そして5000ドル未満の少額資産。そして、3年償却については、その他オフィス器具などの固定資産が該当しておりました。
今回、“Plant and Machinery Write off Acceleration”が導入されましたが、こちらについては、2020年の会計年度、税金の付加年度でいうとYA2021に設備や機械を購入した場合については、その購入した1年目 については75%、そして購入した翌年2年目にについては25%といった形で、2年間で加速度的に償却、所得控除が可能になります。こちらにキャピタルアローワンスと書いてありますが、これは、税務上の少しテクニカルなワードですので、償却、税務上の償却という風にご理解いただければと思います。
次が、不動産所得税になります。“Property Tax Rebate” になります。不動産所得税については、不動産の評価額に応じて、累進課税がなされますが、この部分についても、先ほど申し上げましたように、現在ホテルがかなり稼働率が下がっているというところもうけて、政府が追加の税額控除を可能にしたものになります。こちらも上のものと同じく、会計年度の2020年度、税金の付加年度でいうとYA2021のみの取り扱いとなります。
ホテルやサービスアパートメント等指定の固定資産税については、納税額の30%を税額控除を追加でできるという風な政策になります。
税金のパートの最後のところ、こちらも法人税ですね、“DTDi (Double Tax Reduction for internationalization)”。こちらは2012年に導入された国際展開を支援する為の、所得控除の制度になりますが、こちらが2025年の12月31日まで延長されております。内容について少し補足しますと、国際展開活動費用については、その支出した金額の200%が税金申告所、法人税の申告所を所得控除が可能になっております。こちらについては、15万ドルまでであれば、政府の承認なしに、所得控除が認められるものになります。
国際展開費用としては、例示で申し上げますと、事業開発ですとか、シンガポール以外の国へのフィージビリティスタディ等の出張費、そしてエンタープライズシンガポールが主催する展示会への出展費用などがありました。こちらについては、適応期限が延長されたとともに、適応範囲も拡大されております。従来出張費や展示会の出展費用だけであったのが、今回適応範囲拡大により、人材開発ネットワーク構築の為の進出のコンサルティングフィー、そして海外で新たに発生する経費などが適応範囲に加わることになります。
こちらについては、政府の発表により、3月末までに、エンタープライズシンガポールのウェブサイトにおいて、詳細が公開される予定です。
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