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【海外進出を現地に学ぶシリーズ・食品業界編】Hesed & Emet Holdingsの代表取締役Reuben Ang氏との対談インタビュー

Hesed & Emet Holdings

代表取締役Reuben Ang氏

背景

  • Hesed & Emet (H&E) は、シンガポールケータリング会社「Elsie’s Kitchen and Continental Delight」の親会社であり、現在Ang家の第三代目が経営。57000スクエアフィートもの中央厨房施設を完備し、毎日平均して1万食以上の食事を提供。主な公式の食事提供者は、28回目SEAゲーム・シンガポールやナショナルデーパレードの様な国家をあげたメインイベント。
  • 小さい頃から子供に責任感について教える事を信念にしていた父の教えを受け、Reuben Ang氏は、家族事業を手伝いながら育ちました。
  • 事業を手伝わなければならなかったもう一つの理由は、F&B業界が人手を要する業種であったからです。
  • Reuben氏は、シンガポール国立大学・経営学部を卒業後、2年間牧師として働き、その後2012年にH&Eへ入社。Ang家第3代目の家族事業経営となります。
  • 当時、物事は非常に伝統的に行われていました。依然として家族経営の小さな店で、きちんとした会計制度や明確な報告制度が構築されていませんでした。
  • 会社はかつてショップハウスにありましたが、区画規制により移転を余儀なくされました。新しい工場へ移転する最速で最も効率的な方法は、競合相手(同じく家族経営で、ビジネスが衰退している企業)を買収することだと気付きました。
  • これは、Ang氏が会社をより現代化されたビジネス慣行に移行する絶好の機会となりました。
  • 従業員50人ほどの企業が、現在の200人までに成長。
  • 労働力に頼りすぎたくないので、人手を増やす事で事業の拡大することに焦点を置いていません。今後は従業員主導にしていく意向。

新しい事業の拡大、伴うリスクと革新の必要性

Ang氏は、リスクを伴う冒険はしません。なぜなら、先代の出資者に対する責任もあるからです。

新しい事業展開も実際していません。しかし既に慣れ親しんだ分野については拡大をしています。自分が情熱をもっていることを何よりもまずやるべきであるとAng氏は信じています。

それでもなお、戦略的に理に適っていれば、新しい可能性も受け入れたいと考えます。

又、会社の長期計画はありますが、物事は常に思い通りに進むとは限りません。機会があれば、それを受け入れるだけです。

会社が成功を遂げるであろうと考える結婚式ケータリングサービスを例に挙げ、これにより、現在の事業との相乗効果を生み出すとAng氏は説明。その他のケータリング会社はこの事業を行っていないので、競合優位性があると信じています。

Ang氏は、革新と時代の変化に適応することの必要性を強調。長年の企業で中小企業段階で留まってしまい、それ以上発展できていない企業をたくさん見てきたとAng氏は指摘

しかし、日常の問題に行き詰っている若い中小企業は特に革新するのが難しいことも認めています。

一方、とても機敏で、大胆にリスクを恐れない新興企業もあります。

H&Eは、現在移行期間で、今後事業をより機敏に適応性の高いものにしたいとAng氏は期待しています。その為に、考え方や期待を管理し調整する必要があります。

新型コロナウィルスによる影響は?

最大の影響は2月にDorsconレベルがオレンジに引き上げられた時で、収益が約90%減少。3月の収益は安定した状態を保ちました。そこで宅配サービスに踏み切りました。

4月から8月頭は、外国人労働者の寄宿舎事業(政府が全外国人労働者をロックダウン対象とした為、ケータリングサービスで食事を提供)のおかげで、需要が急増。この数か月間で、多くの資金を築き上げることができました。

しかし、寄宿舎事業は既に終了し、現在の売上は、通常の20-30%下回っています。

このような危機を予想した事業家はいないでしょう。しかし、SARSのような過去の出来事を考慮すると、予測すべきであったとAng氏は意見を述べました。

SARS以来、緊急時対応計画を導入した政府機関は多くあり、それにはElsie’s Kitchenが緊急の際のケータリングサービスを行うという契約が含まれていました。結果として、この不況期に緊急契約のおかげで H&Eへの需要がありました。

この新しい状況にまだ適応しきれていない企業がたくさんあるとAng氏は指摘。新型コロナウィルスは数か月で終わると考えて、危機が過ぎるの待つだけの会社もあります。今ですら、政府がどうにかしてくれると考える企業もあるそうです。

この危機の期間の政府からの援助は、企業が態勢を整える前の少しの猶予を与えるクッションにすぎません。

政府からの援助を最大活用し、企業を改善する(キャッシュフロー項目だけでなく)必要があるとAng氏は説明。例えば、企業の自動化プログラムの半分やリブランディングプログラムの75%は政府によって援助されます。

H&Eがこの危機を乗り越えることができれば、その後は業界のリーダーになりえるかもしれないとAng氏は見解を示しました。

企業の今後は?

F&B業界は日常に戻ることはなく、「新しい日常」になるとAng氏は信じています。従って、事業もそれに適応しなければなりません。

H&Eは、今後収益源を多様化し、経費(工場賃貸料、人件費等)が高いので、費用を管理する計画があります。

短期計画: バーチャルブランドと製造ライセンスを取得する為の再ライセンス化

クラウドキッチン形態の奨励を最終目的とし、自社のフードコートの個々のお店のブランディングにもっと投資する意図があるとAng氏は説明

H&Eは、かなり大きな工場を所有しているが、食品サービスライセンスのせいで、生産できるものに限りがあります。

この短期計画が5年間で安定することを期待。そしてその時までに、H&Eは、製造業で成功を収め、複数のフランチャイズブランド構築を可能にする明確なブランドポートフォリオを持ち得ているでしょう。

長期目標: ケータリングビジネスの多様化とシンガポール国外への事業展開

ケータリング事業は非常に高利益であるが、たくさんあるF&Bコンセプトの一つにすぎません。

海外の国々におけるケータリングの文化は非常に異なり、シンガポールのケータリング事業モデルをそのまま他国で真似する事はできません。

さらに、ケータリングは食品安全の課題と言う点でとてもリスクの高い事業となります。また、シンガポールでは業界内にたくさん小さい企業がいるので、断片的な市場となっています。結果として、消費者のスイッチングコスト(顧客が現在利用している製品・サービスからの別会社の製品・サービスに乗り換える際に負担しなければならない金銭的、心理的、手間などのコスト)は非常に低くなっています。

従って、ケータリング事業だけに頼る事はできません。代わりに、自社の得意な競争分野すなわち中央厨房運営に頼る必要があります。これは、ケータリング事業を支えるだけでなく、自身のブランド製品の製造を支え、それが将来海外へのフランチャイズへとつながります。

フランチャイズを通して海外進出

海外進出する上で、フランチャイズはリスクが少なく、自社ブランドの管理、研究開発、知的財産権、サプライチェーンの重要性をAng氏は強調。海外進出の際、正しい現地のパートナーを見つけることもさらに重要となります。

シンガポールのブランドは、海外市場で良い評判があります。シンガポール市場は小さいですが、安定していて、予測が可能と言えます。周辺諸国の中でも企業が海外進出するには最適の基盤となります。

また、シンガポール政府は、新しい市場への実現可能性調査に対して非常に強力的です。

急速に成長している分野として、ファーストサーブキオスク、即席食品(インスタント食品)があるとAng氏は強調。 実店舗のレストランはもはや成長の余地はないと氏は指摘。

競合他社と家族事業を経営するにあたっての困難

この業界は非常に人手を要する業種なので、自動化に多額の投資をしています。競合他社もこのやり方を真似しています。又、近しい競合他社との協力的な関係性もあります。

家族事業を経営するにあたっての困難については、関係性を保ちながら、古い考え方を変える事、新しい慣行の導入、変化や移行の管理することです。家族事業にとって、人と人との関係は、戦略的計画よりも大事になります。Ang氏は両方のバランスを保つよう努力し続けています。

日常業務

Ang氏は、日常の事業運営にそこまで関与していません。 明確なビジョンを持ち、大局的にものを考えています。

多くの時間は人に会うことに費やしています。マネージャーと計画についての話し合いをしたり、サプライヤー、業界のその他の同僚、政府機関と会う事に時間を費やしています。これを通して、業界の一般的な見通し、マクロ環境そして利用できる機会を理解しています。

政府機関は、現場で何が起きているかに関してきちんと判断できていないかもしれません、なのでその溝を埋める為にも会って話をする必要があります。

例として、政府機関が即席食品(自動販売機)を推奨していましたが、シンガポールの市場はまだ準備が整っていませんでした。シンガポールは非常に小さい市場で、すでに何もかも便利な状況にあるからです。(24時間営業のF&Bも多数存在)

日系企業から学ぶこと

H&Eは、日系コンサルタント、特に「カイゼン」戦略から多くの事を学びました。

Ang氏は又、日本で2週間の研修に参加し、日本中の様々な会社を訪問しました。

多くの作業方法論を学びましたが、文化の多様性からシンガポールで導入するのは容易でないと感じました。そしてこの日本の作業方法論を導入しようとしたシンガポールの企業でそこまで成功した企業はありません。

それでもなお、Ang氏は現在も導入にむけて努力を重ね、現地の環境に方法論を順応させる必要性についても強調しています。.

システムやプロセス等日系企業から学ぶことはまだまだたくさんあるとAng氏は伝えました。

H&Eは人手不足危機をどのように対処したか?

H&Eは、従業員を維持する為に、ブランディング強化に焦点を当てています。新しい人材を獲得する為には、古いブランドを最新にする必要性があるとAng氏は指摘。

中小企業は自社の強みを知らなければなりません。例えば、多国籍企業よりも良い給与体系を提供することはできないが、中小企業は専門性が低いので学びの機会が多い。

若い世代の人材は忍耐力に欠けており、毎年昇進することを期待します。従って、その期待を管理する必要があります。

中小企業に入る事は、ビジネス全体を学ぶには最適の方法です。従業員を全ての分野において堪能になるよう訓練するからです。それによって管理職の決定がいかに現場に影響を与えるか理解することができ、緊急事態の際により柔軟に対応することができます。

H&Eは、結束の強い文化を持っているので、従業員の確保はできるとAng氏は信じています。家族経営事業は、昇進の機会が少ないと思いがちですが、それは違うと氏は 言い切りました。家族経営事業だからこそ、全ての従業員を本当の家族同様に扱っています。

H&Eは開放政策をとっており、従業員がなにか問題に直面した際、それが個人的な問題であっても、すぐにAng氏に相談するよう奨励しています。

従業員一人一人を一個人として見て、収益を分け合う事で、全員一緒に繁栄すると信じています。従業員の給料もいいですが、その分期待も高いです。

上司として厳しくあることと、友人として温情のあることとのバランスを取る必要性をAng氏は強調しました。

日系企業へのメッセージ

「新しい日常」は、不確実性が特徴です。今後生き延びれる為には、知識を共有する事です。シンガポールと日本はお互いに学ぶことが多くあり、今すぐ会話を始めるべきです。

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