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【源泉税編】シンガポール進出を計画する時の税金の考え方
(シンガポール法人→日本法人への支払いの場合)
監修: 関口 泰央(公認会計士・税理士)

特集

2023. 9. 27​

国際間取引を設計する上で必ずと言ってよいほど焦点にあがるのが源泉税です。特に物が動かない「無形」取引については業界などにより異なる処理が必要となり、最たるものとしてはアニメ業界などクリエイターの在住国がかなり分散される時など、1次著作権者や2次著作権者など複数のレイヤーでのケアが必要になるため、複雑化しがちです。

今回はシンガポール進出時によく相談があり、進出後も見落としがちな点に焦点を絞り、実務者に役に立つ取引を中心に解説していきたいと思います。

支払いを行う法人が納める「源泉税」

上級者にとっては当たり前のことですが、不慣れな経営者の方でもわかるようにまずは。国際間取引における源泉税は支払いをする法人が源泉税をおさめます。日本とシンガポール間の取引で、日本法人がシンガポール法人に請求をして、シンガポール法人が日本法人に源泉税該当取引の支払いを行う際にシンガポール国内税務署へ申告及び納税を行います。

シンガポール国内で該当する「源泉税」取引とは?

申告でよく目にする「取引」を抜粋すると、
「源泉税」対象取 税率(SG国内) 減免措置(JP側)租税条約適用
ローンや貸付に伴う利息、コミッション、手数料 15%~24%
ロイヤリティに関する支払い 10%~24%
不動産に関する支払い(家賃など) 15%
技術&サービス料 実行税率
管理料 実行税率
役員報酬 24%
専門家へのサービス料 15%
海外集客支援料(カジノ関連のみ) 3%
(出典: Singapore IRAS Website)

シンガポール進出時に十分な資本金は準備されているか?(貸付利息)

日本法人から100%出資シンガポール子会社を設立する場合、十分な資本金を設定せずに、資本金がなくなったら「貸付」をすればよいと考えているケースなどは要注意です。それらの追加貸付の利息払い=所得となり、源泉税の対象となります。そのため増資か貸付かの議論の際は必ずと言ってよいほど源泉税のトピックがあがります。

また、ここで知っておくべきことは、シンガポールでは税務署より特に「関連会社間取引」における推奨利率の設定があり、日本の商習慣(世界でもトップクラスの低金利国)に慣れているとシンガポールの推奨利率でそのまま源泉税額が計算され納税が発生するケースもでてきます。

シンガポールの推奨利率は移転価格税制取引上の設定されており、このIRASリンクで確認できます。https://www.iras.gov.sg/taxes/corporate-income-tax/specific-topics/transfer-pricing

2023年の推奨利率(S$15million/約15億円以下の貸付)はベース金利(SORA-3ヵ月物)+2.30%です。ベース金利(SORA-3ヵ月物)はシンガポール金融庁(MAS)で公開されており、2023年5月22日付けでは3.6094%となります。そのため、貸付利率は5.8094%が推奨利率(年利)という結論です。

(出典: MAS Website)

日本本社からの出張者による役務提供

シンガポール進出を計画する時、最初の1~2年は日本本社スタッフの現地アシストを受ける場合は多いです。管理会計がしっかりしている法人グループの場合、日本本社スタッフが出張した分の業務報酬をシンガポール法人に請求するケースがあります。

このような本社スタッフによるシンガポール国内作業(役務提供)に対する報酬払いは源泉税の対象となります。

そのため、当初のシンガポール進出計画をたてる際は本社からの支援業務に対価を発生させるべきかなど検討が必要です。

日本在住者に対する役員報酬(非常勤役員)

シンガポール進出時に、日本法人100%子会社を設立する場合よく見られるのが、日本法人(親会社)の役員がシンガポール法人(子会社)の非常勤役員に名前を掲載するケースです。

この場合、シンガポールから見た非常勤役員(日本在住)の方は「シンガポール非居住」となり、仮にシンガポール法人から非常勤役員個人に対する役員報酬が発生する場合、役員責務の遂行場所が日本であっても、シンガポールであっても全額源泉税対象となります。

専門家へのサービス料

日系企業の海外進出には在日本のプロフェッショナルサービスを使うケースがあり、役割としてはコンサルティング会社、リーガル&会計の専門家、物流設計の専門家など業種に応じて専門家を使いながらの進出も多々見られます。

この専門家サービスについても上記本社スタッフなどの役務提供などと似た処理を行うことが規則です。シンガポール法人と専門家が所属する日本法人や個人との契約及び支払いの場合、彼らの役務提供の場がシンガポール現地であった場合、シンガポール滞在日数を日割りにして、現地対応で受け取る報酬に源泉税が発生します。

最後に

今回はシンガポール法人目線(シンガポール法人が支払う目線)で上記を解説しましたが、これは日本からの支払いも同様です。研究開発のロイヤリティー資産をシンガポール法人に譲渡する計画はよく聞きますが、その後のロイヤリティー収入(日本からシンガポールに支払う額)に対して日本税務署に対して毎月源泉税が発生し納税及び2国間租税条約の申告をシンガポール側で行うなどの作業が発生することもあり、初期のシンガポール進出計画策定には「源泉税」を必ず注意して業務の組み立てをすることをお薦めします。

シンガポール国内の法律で非居住者に対して決めていること(原則論)、日本に対して租税条約による減免措置があるため(上記の事例で減免措置があるか?あれば手続きは?)